エスカレーターのおかしなマナー、片側空け
もはや文化にまでなっているような現象
エスカレーターを利用していると自然に片側に寄っている風景が目に入りますよね。左側に寄って乗る方、右側によって乗る方、地方によって様々です。
では、これはいつから始まり、エスカレーターの正式なマナーなのでしょうか?そして、「左に寄り、右側を空ける」のか、「右側に寄り、左側を空ける」のか、どちらが正解なのでしょうか?
実は、このどちらでもなかったともいえるのです。
どうして片側に寄るようになったのか?
日本では昭和の時代の大阪から
まず、片側を空けるという風景が見られ始めたのは、1967年の大阪からと言われています。1967年の大阪で、何があったかというと、阪急梅田駅の1階から3階を結ぶエスカレーターが完成したのがきっかけでした。
この際に「歩行者のために左側をお空けになってください」という旨のアナウンスが流れていたそうです。そこから、片側空けというのが浸透していきました。
また、70年に開かれた大阪万博でも来場客にエスカレーターで呼びかけた為、更に浸透し、定着していったともいわれています。しかし、1998年に阪急電鉄のアナウンスが打ち切りになりました
長年続いていたアナウンス、意識的に聞いていたわけでもないと思うのですが、利用者の耳には自然に入ってきていたのは事実。
なかなか片側空けの習慣というのは利用者からは抜けられず、大阪、奈良などでは「右側に乗り、左側を空ける」という形が今でも見られるそうです。
でも東京では左寄りの乗り方では?
東京や地方では大阪の方とは逆に並ぶ
大阪では1967年から片側空けの鉄道会社によるアナウンスによって始まったと言われていますが、東京では1980年代末から片側空けが見られるようになったともいわれています。
80年代末ごろから東京では、地下鉄の駅の改札までの長いエスカレーターが増加、自然発生から片側、それも大阪とは逆なんですね。
そして「左側寄りに乗り、右側を空ける」という風景が見られるようになったと言われています。
その土地によって生まれた習慣と言える
大阪方面は左側を空ける、東京その他の地方では右側を空ける風景が
しかし何故空けるのかというと、片側を空けるというのは「トラブルや事故を避けるため」ともいえそうです。
急いでいる人が空いている方を歩くという事が可能なため、利用者同士のもめ事に繋がることも少なくなりますし、時間に遅れそうなときなどは確かに有効かと思えます。
しかし、実際はつまずいたり、荷物同士の接触などから起きるトラブルなど様々な事故発生の確率が上がり、危険な行為ともいえると言われているそうです。
今では、各JR、私鉄各線ではエスカレーターの真ん中に立って乗ることを推奨しています。こういった片側空けのエスカレーターの利用は、実はマナーではなく、習慣からだったのです。
しかし、現在では危険も懸念されるこの習慣。どんな習慣も変えていくというのはかなり大変かと思えます。
しかし、危険を伴うような乗り方や他人に迷惑をかけるような乗り方は避けていきたいものです。利用者である皆が気持ちよく使える、そんな風景が理想ですね。