実は古いストローの歴史について
ストローそのものには全く罪がない
最近、スターバックスやマクドナルドが紙ストローの導入を決めて話題になりました。しかし、ストローは元々、麦の穂を切り取った後の麦稈が使用されていました。
この麦稈製のストローは、意外と丈夫で、十分実用に耐えるものです。今でも、麦稈を使用して、手作りしている人もいます。
ストローの歴史は、意外と古く、メソポタミア文明の時代にまでさかのぼります。紀元前4000年から3000年の頃、シュメール人たちは、焼いたパンを砕いて水に漬けてビールを作っていました。
現代風に言えば天然酵母のビールです。しかし、当時のビールには、様々な沈殿物や浮遊物が混じっていました。そこで、それらを避けてビールを飲むのにストローを使用したという訳です。
ストローが急に悪者になった訳
ストローの何が悪いのか
ストロー廃止の動きは、急に決まった訳ではありません。2018年6月にEUがストローなどの一部使い捨てプラスチック製品の流通禁止に踏み切ると発表したのです。
これは、海洋汚染の原因となっている海洋ゴミの85%が使い捨てプラスチックになっているという現実を問題視したためです。EUは2019年5月までに欧州議会と加盟国の承認を得るとしています。
流通禁止の対象は、スプーン、フォーク、ストローの他、お皿や軸がプラスチックの綿棒、風船を結びつける棒などにまで及びます。
この発表を受け、世界中に展開するスターバックスコーヒーやマクドナルドが紙ストローの導入を決定したという訳です。この動きは、今後も広がっていくのではないでしょうか。
またペットボトルは、今のところ、リサイクルの動きが活発ですが、海洋ゴミとして増加するようであれば規制される可能性があります。
ストローに心配される健康被害
ストローは健康によくない
ストローの原材料は、原油を原料とするポリプロピレンが一般的です。このポリプロピレンは、熱や酸性度の高い飲料、紫外線にさらされると、ポリプロピレンに含まれる化学物質が溶け出して人体に悪影響を与えると言われています。
しかし、家庭やお店で普通に正しく使用する分には、あまり問題はないと言えます。
問題なのは、それらのプラスチックが、海洋ゴミとして海を漂ううちに魚の口に入って、食物連鎖の輪に取り込まれ、次第に蓄積されたものが私たちの食卓に上る可能性があるということです。
実際に、蓄積された魚が市場に流通しているのは実証されています。
海洋ゴミ回収プロジェクト
若者を中心に広がる運動
毎年800万トンものプラスチックが海に捨てられていると言われています。そんな中、若者を中心に海洋ゴミ回収プロジェクトが動き出しています。
2012年には当時18歳の高校生が、海洋ゴミ回収プロジェクトとして動き始めました。クラウドファンディングでお金を集め、19歳の若さで200万ドルを集めることに成功しました。
そして、2016年から日本の対馬でシステム運用を開始すると発表しています。
またオーストラリアでは、海を愛する2人のヨットマンの発想で、「seabin」と呼ばれる海のゴミ箱が開発されました。これは、海に浮かせて、浮遊する海洋ゴミが吸い込まれるというものです。
まだまだ規模が小さいものの、大型化が成功すれば、かなりの効力を発揮すると思われます。