アワビには食べられない部位があると言われることがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。結論から言うと、アワビには食べられない部位は存在しません。
しかし、アワビの扱いにはいくつか注意点があります。今回はその点について詳しく解説します。
アワビに食べられない部位はあるのか?
一部の貝類には食べてはならない内臓部分があることが知られています。たとえば、ホタテの「ウロ」と呼ばれる黒い部分は食用に適さないとされています。これはホタテが摂取した毒素を蓄積する場所であるためです。
アワビにも黒い肝臓の部分が存在しますが、この部分は食べても問題ありません。ただし、アワビには「クチバシ」と呼ばれる硬い部分があり、ここには毒性はないものの、硬さがあるため食べるのが難しいです。そのため、このクチバシ部分は取り除いて捨てるのが一般的です。
アワビの肝の摂取に注意が必要な理由
アワビの肝には毒性がなく、安全に食べられることが一般的ですが、過去には「光線過敏症」という稀な症状が起こる場合がありました。
この症状はアワビの肝を摂取した後、約1〜2日で発現し、日光に触れた皮膚部分にかゆみや赤みなどの発疹が現れます。通常、この症状は発症後約20日で自然治癒します。
ただし、アワビの肝が光線過敏症の原因とされたのは1950年代以前のことで、現在ではそのような報告はほとんどなく、稀なケースとされています。
かつてはアワビが豊富に獲れていたため、大量摂取による稀な症例が見られたのです。現代ではアワビの肝を適量食べる分には問題ありません。
特に春の時期にはアワビが食べる海藻が原因でこの現象が起こると言われているので、春に採取されたアワビの肝を食べる際には注意が必要です。